議員全員で市民の声を市長に届けて実現!白井のずっと先を行く議会改革の先進議会を視察

2025年1月16日、17日 〈議会運営委員会視察〉報告

今回、岐阜県可児(かに)市議会、三重県いなべ市議会の議会改革を見せていただきました。
本当の意味で「市議会として」、市民の代表として、市民の側に立ち、議会のあるべき姿を示した『議会基本条例』を持っています。それを基本に、市議会の情報を市民に議員全員で伝え、また、市民の声を全市議で市長に要求して叶えるという双方向の関係を努力して築いています。白井市議会が学んで追いつくには相当の距離があると実感しつつも、希望のもてる大変刺激的な視察になりました。

岐阜県 可児(かに)市議会

私が可児市議会へ行きたいと思ったのは、2024年2月の白井市議会の議員研修で、早稲田大学マニュフェスト研究所事務局長の中村健氏の講義を受けたときです。

中村氏は、可児市で子育て施設を立てる前に、可児市議会がお母さん方の意見を集めて反映させる取り組みをした結果、ATMがほしいなどの要望が取り入れられ、使い勝手がいいと喜ばれ、さらに時代の流れでATMが不要になると、また利用者の意見を聞いて撤去し、別の望まれる用途の場所にしたという話をしてくださいました。

白井市では、まさにこれから、4施設がまとまった文化センターの大規模改修を行うときであり、とても参考になるだろうと思ったのです。

しかし、事前に可児市議会のホームページ「議会のトビラWEB」で議会改革の内容を読んで、驚きました。(https://gikai-kani.lg.jp/reform)なんと、可児市議会は「こども議会」「中学生議会」「高校生議会」「ママさん議会」を開いており、これでもかというほどに、各年代の声を聞く場を設けていたからです。

視察では、資料だけでも104ページ分にわたる議会改革について解説していただき、当然ながら資料を読むだけではわからない、市議のみなさんの想いや、議会改革に対する考えを聞くことができ、足を運んだ甲斐のある内容となりました。以下、印象深かった可児市議会の特徴的な改革と、白井市議会で見習いたい改革について紹介します。

1、 議会改革のきっかけ

今から17年前の2008年に、名城大学の年情報学部の昇(のぼる)秀樹教授のゼミに議員11人が参加し、地方自治や時事問題について、ゼミ所属学生とも意見交換会を行ったそうです。

その後、2011年には第1回市民アンケートを実施し、市民のみなさんの議会に対する意見を知ることが、大きな転機になったようです。「市議会に関心がない」人が36.7%はわかる気がしますが、「議員の活動内容を知らない」人が64.2%もおり、「市民の声が市議会に反映されていると感じている」人が6.4%しかいないという厳しい事実を知り、可児市議会の市議のみなさんは、議会改革を進める必要性を強く実感したそうです。

それから1年後には、議員全員が参加する議会報告会を行い(毎年実施)、議員が住民からの「議員が何をしているかわからない」という目に応えるためにも議会の基本姿勢を示した「議会基本条例」を制定。議会の予定の公表や、フェイスブック解説、ホームページ全面更新、高校生議会の開催のほか、議会として空き家の適正管理に関する条例を制定するなど、まさに議案審議だけでなく、議員の条例制定という重要な仕事を行っています。

第1回市民アンケートから5年後の2016年に行った第2回市民アンケートでは、紙の議会だよりを読んでいる市民の31.4%が「議会改革は進んでいる」と回答し、「進んでいると思わない」人より多くなる成果がありました。回答者の44.9%という最多の人が「市民の意見を聴く意見交換会の充実」を、44.2%の人が「議員の資質向上」を求めているという結果を受け、①さらなる情報公開の徹底、②議会だよりを軸とした広報、意見交換会の充実に乗り出します。

この5年間の成果として、2011年には36.7%だった「市議会に関心がない」人が、2016年には10.1%になり、じつに26.6%も関心がある人が増えました。

白井市議会との比較では、まず白井市議会では、そもそも市民の声を議会全体として一緒に聞くという場をほとんど設けていません。議会に陳情・請願が出されると常任委員会では審議の際に提出者の説明を聞けるので、陳情・請願を報告だけで済まして審議しない議会もあることを考えれば良いことですが、それを発展させるのではなく、以前は時間無制限だったものを、前期の議員が15分に削る決定を下してしまい、市民の声を聞く態度は、議会全体として後退しています。市民アンケートを行い、それに応える議会改革をするのは白井市議会の任務の1つだと思います。

2、 議論の充実

一般質問で一問一答方式も選べることや執行部が議員に質問できる反問権、議場モニターは、すでに白井市議会も行っている点で、こうしたことは白井市議会のよいところだと思います。可児市議会で行っていることで、とてもよいと思ったのは「自由討議」です。私がぜひ参考にと質問したところ、議案審議などの際に、いつでも議員が「自由討議をしたい」と申し出れば、議員同士の討議ができるのだそうです。

それにより、議員同士が互いの意見を聴いて考えを発展させられる可能性が高まるだけでなく、市民が陳情を出したときも、賛否の討論(スピーチ)をした人の意見のみ知れて、他の反対意見はまったくわからないという状況がなくなり、出した市民も、納得するかどうかは別としても、各議員がどういう考えで賛成や反対の立場をとっているのか、知ることができるという大きな利点があります。

こちらについても、白井市議会では、市民の出した陳情・請願に対して常任委員会で質問ができますが、質問を1度もせず、反対理由も述べない議員がおり、これでは市民との双方向の意思疎通ができているとは言い難く、議員同士でも、なぜ反対なのかがわからず、非常に困惑します。自由討議をしたい場面は今までも多くあったため、ぜひ白井市議会でも取り入れたいやり方です。

3、 市民福祉向上のための4つの議会サイクルで、引き継がれる議会課題と取り組み

可児市議会の運営でもっとも大事な取り組みだと私が感じたのが、民意を市政に反映させる、確実な仕組みがきちんと作られていることです。

可児市議会ホームページ 議会改革のあゆみ「視察対応資料」p22より

まず、「民意を反映する政策タイムライン」という題名からしてすばらしく、単に議員が市に提言するというのではなく、きちんと各種懇談会や市民の議会から集めた声を元に、議員全員がまとまって「チーム議会」として市長に提言するという仕組みを作っている点が、本来、議員に期待される役割を果たすためにとても重要なことだと思います。

可児市議会は、議員全員で議会報告会を行っています。白井市議会でも、議会改革案として全員の議会報告会が提案されましたが、各々でやればいいという意見が多く、実現できませんでした。まずは皆で報告するという意識ももてると議会全体のアピールにもなりますし、議員として意見を受け、返さなければならないという緊張感も高まり、より議員として働く意識が高まるのではないかと思います。

可児市議会で他にもすばらしいのは、徐々に市民が参加する議会を開催するうちに、とうとう、小学生議会、中学生議会、高校生議会、ママさん議会(名称は今後検討するかもしれないそう)と、各年代に応じて議論し提案する場を設けているほか、地域課題についての懇談会もあることです。これは、若者が育って市外に出てしまうということに対し、地域を知ってもらい、関わってもらうことで地域で生きて行くことも考えてほしいという想いも込められており、さらに、若者が参加する企画はメディアに注目され報道されるため、議会に関心を寄せてもらうための戦略的な狙いのある方法でもあるそうです。実際に可児高校ではこの試みのあとに現実の投票率が90%を超えており、しっかりと成果も出ています。白井でも白井高校と市の合同企画がありましたが、議会として関わることもぜひ行えたらと思います。

白井市でも、市民が昔から議会を傍聴し、それを報告するなどとても高い関心と活動が行われてきましたが、そのような活発な活動が高齢化で少なくなるなかでも、市民からの陳情・請願は4年間で10回ほど出されたうち、9つの陳情・請願は不採択となっています。もし可児市議会のような仕組みを作れれば、各種市民の議会で提案されたことは重視され、実現のために議会として協力し合う保証もできるのではないかと思います。

また、白井市議会が挑戦してなかなか実現できていないことに、予算への意見の反映ということがあります。白井では、同じ議員が決算を審査し、次の予算に対して要望をして、予算に意見が反映されているかチェックできるよう予算も審査するというサイクルを試していますが、執行部からは、決算時の意見をどう予算に反映させたのか、またはさせていないのかという回答を、審議中の質問でも得られていません。

一方、可児市議会では、一人の議員が一般質問で提案してもなかなか通らないというのは白井と同様ですが、まず、会派でなく常任委員会で特に必要性があると考えた場合に、合同で調査を行い、委員会代表質問を行うことができるようにしたため、単独の議員よりも重く受け止めてもらえる提案や問題提起をすることが可能です。

さらに、市民の意見を聴く場を十分に設けた上で、決算審査の際には議員全員で市への提言書をまとめています。全員一致しなければ提案できないとはいえ、ここで一致して提案したことは非常に大きな意味を持ち、予算時には、どう反映させたのかを市から説明する「提言反映結果報告」を求めており、ぜひ白井市もこのレベルを目指したいと憧れる仕組みです。さらには、予算に入れた事業を一年間行ったあとにも「提言反映結果報告」があるため、市としても議会の提言を意識して仕事をしてもらう仕組みも作られています。すばらしいサイクルだと思います。学ぶところ、憧れるところの多い可児市議会でした。

 

1月17日に視察した、三重県いなべ市議会の市議会も、議会改革の内容が盛りだくさんでした。

市役所の周辺に素敵なお店が点々とあるおしゃれなミニ散策エリアがあったのも、いなべ市の魅力でした!

このつづきは、また更新させていただきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。